365在线体育投注-【官网直营】@

图片

LA学群宮脇教授 重い星の誕生のようす また一歩解明!

2022/03/08(火)

  • 大学
  • リベラルアーツ学群
  • お知らせ
  • 教育?研究
  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

本学リベラルアーツ学群の宮脇亮介教授は、アルマ望遠鏡(注1)のデータを解析することで、重たく、暖かく、厚みのある円盤を通して、重い星が周囲のガスをかき集めながら形成されていくようすを明らかにし、3月1日(火)に記者発表を行いました。

宮脇亮介教授

【これまでの理解】
太陽のような軽い星(中小質量星)の誕生は、主として水素分子からなるガスが、重力の作用で一点に降り積もる(降着する)ことで起こります。中小質量星の誕生では、分子雲のなかに、半径が数万au(注2)で重さが太陽の数倍ある冷たい(絶対温度で10K程度、摂氏?260度)「分子雲コア」ができ、そのなかで数十万年かけて水素ガスが中心星へと降り積もります。ガスは星の表面に直接降り積もるのではなく、大きさが数百auの円盤(原始惑星系円盤)を通して星の表面まで落ちていきます。なお、星の成長にともなってガスの落下が遅くなると、円盤内で惑星形成が起こります。
一方、大質量星(概ね太陽の8倍以上の質量をもつ重い星)は中小質量星に比べて進化が速く、詳しく観測できる領域が太陽付近に少ないため、その誕生のようすはよく分かっていませんでした。大質量星の形成が、中小質量星の形成シナリオをスケールアップしたものなのか、あるいは別の過程(例えば中小質量星が衝突合体して大質量星になるなど)を経るのかは、専門家のあいだでも議論のあるところです。

【本研究の成果】
ここ数年、アルマ望遠鏡の高い分解能と感度によって、若い大質量星の周囲に大きさが1,000 au程度の円盤が見つかってきており、円盤による降着を通して大質量星が形成されていく姿が見えてきました。
大質量星の場合、分子雲コアに相当するものは「ホットコア」と呼ばれ、その大きさは分子雲コアと同程度で数万auですが、温度は約300K(摂氏27度、地球の表面温度程度)と暖かく、重さは太陽の1万倍(分子雲コアの100倍以上)もあります。W49N MCN-aはそのようなホットコアのひとつです(注3)。中心部に太陽の10倍程度の質量の星(原始星)はできていますが、星周ガスはまだ星によって十分に電離されていません。そのため、非常に初期の段階の大質量原始星だと考えられます。
今回の成果では、MCN-aの円盤が半径10,000 au以上にまで広がっており、半径3,000 auから17,000 auまでの回転が概ね V (R) ∝ R0.32 と表せることが分かりました(注4)。この回転則から導出される円盤の質量分布は、半径R以内に存在する質量をM(R)としたとき、M(R)/M = 95 × (R/3,000 au)1.65と表わせます (Mは太陽質量)。
この質量分布をホットコアの半径(31,000 au)まで外挿すると4,500 Mとなり、別の方法から推定されるホットコアの質量と誤差範囲内で一致します。そのため、今回得られたMCN-aの質量分布則は、半径3,000 auから31,000 auまでの質量分布を正しく表していると考えられます。
ホットコア全体にわたって、このような質量分布が明らかになったのは初めてのことです。また、この質量分布則を半径1,000 auまで外挿すると15.5 Mという質量が得られますが、これは中心星の質量と同程度となります。このことは、半径1,000 au以内のところでは円盤は星に比べて軽くなってケプラー回転的になることを示唆しています。
今回観測された大きなガス円盤は不安定で、円盤内で渦巻きが生じたり塊に分裂したりして、ガスが円盤の内側へと落下していくものと考えられます。その速さ(質量降着率)は、太陽と同程度の質量が100年かけて中心へと落ちていく程度だと推定され、その1割程度が実際に星に降り積もるでしょう。

研究結果は、日本天文学会2022年春季年会にて発表され、年会で記者向け発表を実施しました。論文作成中ですので、本文中の数値については違いが生じますが、内容はそのままです。

注1:アルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)は南米チリ共和国北部、標高5000メートルのアタカマ砂漠に建設された電波干渉計です。日本を含む東アジア、北米、欧州南天天文台の加盟国と建設地のチリを合わせた22の国と地域が協力して運用しています。

注2: au(astronomical unit)は天文学で用いられる距離の単位。地球と太陽の間の平均距離にほぼ等しく、1.495978707x1011 m(約1億5000万km)である。(天文学辞典から引用。https://astro-dic.jp/astronomical-unit/ )
太陽から海王星までの距離は約30 auで、太陽系の涯にある「オールトの雲」は、太陽から数万auの距離にある。この大きさは分子雲コアやホットコアの大きさと概ね一致する。

注3:W49Nはわし座にある大質量星の形成領域。距離は11キロパーセク、36,000光年。銀河系内で最も明るい水蒸気メーザーを放射している。MCN-aは、シアン化メチル(CH3CN、methyl cyanide、アセトニトリル)で発見された最初(a番目)のホットコアを意味する。

注4:原始惑星系円盤で見られるケプラー回転の場合、V (R ) ∝ R -0.5 と表され、剛体回転だとV(R) ∝ Rと表すことができる。

【宮脇亮介教授コメント】
現在さらにデータを解析して研究を進めています。さらに、より解像度を上げた観測の提案をする予定です。それによりさらに円盤の様子が明確になるでしょう。
また、他の天体についての研究も進められていて,大質量星の形成の初期段階における進化過程が明確になるはずです。
これらの研究が進むことで大質量星の形成過程についてのより鮮明なイメージを提供できるでしょう。

【研究チーム】
宮脇亮介(桜美林大学)
林正彦(日本学術振興会ボン研究連絡センター)
長谷川哲夫(国立天文台)

ページの先頭へ