365在线体育投注-【官网直营】@

图片

環境問題を
「自分ごと」としてとらえ、
解決できる人材を育てる

リベラルアーツ学群

藤倉まなみ 教授


幼少期から公害問題を「何とかしないと」という使命感に燃え、理系女性初のキャリア採用で環境省に勤めた藤倉まなみ教授。今、課題解決型の授業やワークショップを通して、学生たちの問題意識を揺さぶります(聞き手:桜美林大学 畑山浩昭学長)。

小学生で環境問題に開眼
「女性初」の道を進む

畑山:今、世界各国が足並みを揃え、喫緊に取り組むべき環境問題。藤倉先生は国の中枢で、しかも初の「技術系女性キャリア」として環境行政に携わってこられました。そもそも、環境というトピックに関心を持ったのはいつ頃ですか。

藤倉:小学校4年生くらいからです。1970年頃の日本国内は、公害問題が最も深刻な時期でした。都会の「光化学スモッグ」、熊本県水俣市の「水俣病」、三重県四日市市の「四日市ぜんそく」に、工場排水から発生するヘドロも問題になっていました。「ゴジラ対ヘドラ」(1971年、東宝系)という映画がありましたが、ヘドラという怪獣は、当時、問題視されていた静岡県富士市の「田子の浦港」のヘドロから生まれたという設定。エンタメになってしまうほど「公害」がキーワードの時代でした。「これは何とかしないと」と思ったんです。

中学?高校のクラブ活動では化学班として水質調査をしてまわっていました。そして進学した京都大学工学部では衛生工学科へ。汚染された排ガスや排水を浄化する研究をしました。学科でも、所属していた大学の体育会スキー部でも、女子は当時、非常に希少でしたね。

畑山:それから大学院を卒業後、環境庁(現?環境省)に入庁されたのですね。

藤倉:当時は男女雇用機会均等法が施行される前で、私が理系の「キャリア女性」の第1号でした。最初は水俣湾のヘドロ問題に従事し、以降、厚生省(現?厚生労働省)と行き来しながら廃棄物、悪臭、汚染土壌の問題や、環境分野の国際協力に取り組みました。神奈川県の鎌倉市役所に派遣されたこともあります。当時、鎌倉市では都市近郊の緑を開発し、宅地化することの是非が問われていました。

国は企画立案が仕事で、政策をカタチにする段階まででほぼ終わるんです。市役所は、そのシステムの運用を、その自治体ならではのオリジナリティーを発揮しながら実行する。そこが異なる点ですね。鎌倉市ではいかに市民の力を得て、調整するか、より地に足のついた現場を体験することができました。

それから環境省から研究出向という形で慶應義塾大学の教員になりました。その後、環境省を退職。2010年、桜美林大学に着任しました。この間、社会人学生として、北海道大学で博士号を取得しました。

ワークショップを通して
学生たちに気づきを

畑山:いま、研究テーマとしてはどんな分野に関心を持っていますか。

藤倉:二つあります。一つは、汚染土壌や廃棄物など「前の世代が残した『負の遺産』」を次世代に残さないためには、どうするか。もう一つは、SDGs教育(持続可能な開発目標に向けた教育)。ワークショップなどの手法を授業に採り入れると、関心の低かった学生も、環境問題に興味を持つようになります。

畑山:そのワークショップでは、学生は具体的にどんなことに興味を持つのですか。

藤倉:例えば「世界がもし100人の村だったら」というワークショップがあります(※)。学生にカードを配るのですが、そこには「大陸名」「〇、△、□」などが書かれています。大陸ごとの面積を表す紐の輪をあらかじめ作っておき、カードの記載に従ってその中に入るよう学生に促します。すると、アジア大陸の輪の中は学生でぎっしりに、アメリカ大陸の輪の中はスカスカに。これは「人口密度」を表します。さらにアジア大陸の輪に「中国」、アメリカ大陸の輪に「米国」などと、国名が書かれたカードを所定の枚数割り当てます。そうすると「米国」カードは1人あたりの持つ枚数が多く、「中国」カードは1人あたりの枚数は少ないものの輪全体での保有枚数が多いことに気づきます。カードの枚数が表しているのは何か? CO2排出量です。

最後に、お菓子を配ります、数人しかいない「〇」チームにどっさりと、中ぐらいの人数がいる「△」チームには10個、もっと人数の多い「□」チームには2個だけ。これはそれぞれ世界の富裕層、中間層、貧困層と、その層が持つ「富」を表します。

このようなワークショップを通じ、何に気づいたか、何を変えたいと思ったかを考えてもらう。環境問題のみならず、世界の不公平さや、今、置かれている状況を知り、何を解決したいのか学生たちに考えることを促します。

※開発教育協会(DEAR)の教材「ワークショップ版?世界がもし100人の村だったら[第6版]」より
http://www.dear.or.jp/

リベラルアーツ学群(環境学専攻プログラム)は、東京都による自然環境保全のための人材育成?認証制度「ECO-TOPプログラム」の認定を受けている。藤倉教授らの指導のもと、2020年度には11人がプログラムを修了した

リアルな問題の解決を考え
環境意識の醸成を

畑山:藤倉先生は桜美林大学に来られて11年。大学内で私たちが環境問題に取り組む姿勢については、どんな見解をお持ちですか。

藤倉:学生には課題解決能力の育成が必要です。例えば、ゼミの活動の一環として、キャンパス内のごみ箱の分別の実態を調査し、分別率を上げるためには何をしたら良いか——「リアル」に起きている問題を「自分ごと」としてとらえ、その解決のためにはどうしたら良いかを提案する活動を行っています。大学としては、ぜひ「サステナビリティ報告書」をまとめてはどうかと考えます。

畑山:「サステナビリティ報告書」はいい案ですね。大学は今、SDGsに取り組んでいますから、学生たちには生きる知恵としての環境意識を育み、社会に出てほしいです。

藤倉:学生が関わり、自分たちの大学をきちんと評価?分析することは、非常に良い教育テーマです。教員も、それによって学びます。環境分野とは関係がないと思っている先生も、学生が質問に行くことで、発見を得ることがあります。「私の研究が、環境活動、『SDGs』に、こんなカタチで関わっていたのか!」って。

畑山:同感です。環境問題も含め、社会問題に対する意識が今、急速に変わっています。教員も、外の世界に触れないと。学生たちが率先して行動するのはすばらしいことですね。

文:加賀直樹 写真:今村拓馬

※この取材は2021年3月に行われたものです。

関連記事

ページの先頭へ